弁理士と勉強

月曜日, 2月 25th, 2013

2月23日、新人弁理士への東海支部オリエンテーションがありました。

このオリエンテーションは弁理士試験合格者で義務研修を修了した者に対して行う、東海支部の紹介と各委員会の委員への勧誘行事です。

私は副支部長をやっているので駆り出されたというわけです。

私が合格した18年前にはこの種のオリエンテーションは無かったような気がします。

義務研修というのも近年始まったようで、この研修を受けて終了証を貰わないと弁理士登録ができないそうです。

我々の頃は研修はありましたが義務ではありませんでした。

近年は弁理士には5年間で何十単位以上の研修を受けることが義務付けられていますので、弁理士登録後も仕事をやりくりして研修を受けなければなりません。

これは我々古手も同じです。

さらに10年くらい前から、訴訟の代理人ができる付記弁理士の制度ができまして、この資格を取るためには何十時間かの研修を受けて、さらに試験を受ける必要があります。

まっ、そういうことで、勉強というものからは生涯(大袈裟)逃れられないようになっています。

知的サービスの提供を標榜する限り、勉強というものから逃れられないのは、まあ当たり前ですね。

ただ、昔は多くのことが各自の自覚に委ねられていたのが、今は制度的に強制されるようになったということです。

どういう組織でもそうですが、時がたつにつれて、あれやこれやと制度ができて息苦しくなってくるようです。

本来勉強なんてものは自分の興味でやるから面白いのであって試験とか研修で義務的なものになった途端に面白くなくなるものです。

英語でも、外国人ともっと自由に意思疎通を図りたいと思って自分で試行錯誤しながら時間を作ってやるから面白いのです。

私に言わせれば、弁理士試験だけで充分で、継続的な勉強ができる性格(?)であることは確認されているわけですから、あとは個人の自由に任せたらどうでしょうか。

自分を例に挙げて申し訳ありませんが、面白そうな研修を全て受けていると、義務研修の必要単位なぞは自然にクリアできています。

どうも最近はあらゆる分野でお節介が過ぎるような気がしますねー。

勉強とは本来強制されることなく自分の興味でやるものだと思いますが如何でしょう。

天地明察

月曜日, 2月 18th, 2013

先日レンタルDVDで「天地明察」という映画を見ました。

安井算哲、後の名を渋川春海といった江戸時代の数学者で天文学者のお話です。

日本で初めて精密な日本全図を作った伊能忠敬ほど有名ではありませんが(と思う)、確か高校の日本史の教科書に数学者の関孝和と一緒に名前が載っていたような気がします。

かすかに記憶がありました。

まあ当時は、試験に出るかもと思って名前を覚えただけですけどね。

当たり前ですけど、映画というのは大変ですね。

小説だったら文字だけで、あとは読者の勝手な想像力に委ねておけばよいのですが、映画では当然のことながら実際に目に見えるセットを組まなきゃいけないですからね。

しかしその分、実際はこうだったのかー、と目が覚めるような感じでした。

江戸時代の日本では和算という数学が発達していましたが、これは幾何を中心とするクイズのようなもので、神社の絵馬に問題を書いて、誰かが解くのを賭けるようなことも行われていたらしいです。

しかし、そのレベルは結構高く、ヨーロッパで微積分学が生まれる前に既に和算ではそれに似たような考えが出てきていたとか。

もっともこれは映画ではなく、昔聴いた話ですが。

で、安井算哲ですが、数学と天文学がなぜ必要だったかたというと、暦を作成する必要があったからです。

暦には中国から伝来した何種類かのものがあったのですが、この暦を決めるのは京都朝廷の専権事項だったのです。

ところがこの暦は江戸時代初期には誤差が大きくなって、人々の生活に悪影響を与えるようになっていました。

そこで、幕府はより正確な暦の作成を安井算哲等に命じるわけですが、そのためには最新の数学的知識とこれを実証するための長い天文観測が必要なわけです。

映画は、新しい暦を作成する過程での幾多の苦労とこれを支える妻、朝廷による妨害、困難を乗り越えて大和暦という新しい暦をついに作成した安井算哲の半生を感動的に描きます。

うーん、科学技術は江戸時代には殆ど停滞し、明治維新の洋学の導入まで何ら見るべきものは無かったように思われがちですが、実は江戸時代にも着々と洋学を咀嚼できるような科学的知見が蓄積されていたということのようです。

弁理士会東海支部講演会その2

金曜日, 2月 15th, 2013

続いては自動車関係の会社の知財部長のお話でした。

最近は新興国(ブラジル、インド、ASEAN等)に対する知財戦略を真面目に考える必要が出てきたとのことです。

この場合、特許のみならず、契約やブランド等も含めた広い視野で考える必要があるようです。

これだけ生産販売がグローバル化すると、知財制度が未だ上手く機能していないところもある特に生産国での効果的な技術保護が問題になってきているものと思われます。

自動車が社会的インフラになるにつれ、関連する技術分野が飛躍的に増加しつつあり、最近は電子決済等の金融業の技術までウォッチしていく必要が出てきた、とのことです。

また、最近は米国等において、買い占めた特許で莫大な賠償金を請求してくる、いわゆる特許トロール会社に悩まされている、とのことです。

このような会社はバックに投資家がついており、豊富な資金力にものをいわせて大々的な訴訟を仕掛けてくることが多いとのこと。

米国では訴訟において相手側に書類の提出を求めるディスカバリー(開示)制度があることから、これが大きな負担になるそうです。

さらに最近は中国で特許訴訟が頻発しており、中国に対する知財戦略の重要性が以前にも増して重要になっているようです。

そこで、有力な技術情報源である特許公報の分野別調査を徹底して、特許マップ等から将来技術を予測し、あやまりなく事業遂行ができるように注意を払っているとのことです。

大きな会社になればなるほど、知財上の問題が指数的に増大して、多くの人材と労力を必要とするようです。

弁理士会東海支部講演会その1

水曜日, 2月 13th, 2013

2月8日に弁理士会東海支部主催の講演会がありました。

まずは大学の先生の講演でした。

自動車に対する私のイメージは長らくの間、内燃機関で走る四輪車という感じでした。

ハイブリッドが現れてそのイメージは少し変わりましたが、まあエンジンに代えてモータ走行も可能になっただけ、という程度の認識でした。

燃費は良くなるのでその分化石燃料の消費は減るのでしょうが、バッテリの製造や廃棄に環境負荷がかかるので本当に環境に優しいのか疑問、と書いた本もありました。

それはさておき先生のお話によると、最近はプラグインハブリッド車において試みられているように、自動車が緊急時の電源となるような使い方がされ、従来の、単なる移動手段のイメージが覆りつつあるとのこと。

ハイブリッド車が燃料電池車になれば、これは「くるま」が小さな発電所になることを意味するから、各家庭が車から自前で電気を作ることになり、電力会社による電気エネルギーの供給負担が軽減されます。

さらには細やかで自由な制御が可能な電気自動車ならば、これらの走行を全体管理するITSの適用によって交通網全体のエネルギー消費の低減が可能になるはずです。

このようなハイブリッド車や電気自動車は、従来のエンジン車に較べて、開発途上国でも容易に作れるかというと、決してそうではない、とのことです。

330Vのモータ駆動用の大電流と通信用の弱電の分離をどのようにするかとか、なかなか難しいクリアすべき技術的課題が横たわっていることから、まともな電気自動車は日米欧の先進国でないとできなのではないか、というわけです。

いずれにしても、これからの自動車は、航空機産業や電気産業等の他分野の技術を広く取り入れた総合技術的なものになるのではないか、というお話でした。

JIPAの知財シンポジウムその2

水曜日, 2月 6th, 2013

先回の続きです。

件のシンポジウムは第1部が「アジア諸国の知財制度への期待と可能性、知財戦略を考える」、第2部が「アジアでの今後の知財アクティビティの考察」というテーマのパネルディスカッションでした。

第1部も第2部も、談論風発のディスカッションというよりは、最初に各自の発表があり、その後はモデレーターの指名順に発言するという感じのものでした。

第1部ではタイ、シンガポール、インドネシアの各特許庁長官が自国の知財制度の現状と特徴、並びに特許・商標等の出願状況を説明しました。

いずれの国についても日本からの出願件数は外国出願の3位以内に入っており、特にタイでは日本からの出願がダントツの一位です。

そして各国とも未だ出願処理や権利行使において先進国に遅れを取ってはいるものの、着実に改善の努力がなされており、これについて日本のさらなる協力が期待されているとのことでした。

第2部はいくつかの大企業のASEANにおける知財活動が語られました。

各企業とも総元締めは日本の本社知財部がやり、現地にも知財機能を置いているとのこと。

現地子会社への技術移転契約やノウハウの管理、模倣品対策等が出願活動にも増して重要だとのこと。

出願は今のところ、現実に権利行使を考えるよりは、将来的には各国知財制度がもっと機能するようになるだろう、という期待の下に出しているようです。

本社知財部の役割としては、各国の現地知財部の要員の教育と、それ以上に現地子会社からのライセンス料等を如何に本社に効率的に還流させるか、だとのこと。

私の予想の範囲内で、余り目新しい話ではありませんでしたが、予想通りであることを確認できたことは良かったかな、と思います。

大企業の知財部が行っているこれらのことを、中小のクライアント様の知財部として弊所が如何に果たしていくか、この辺りが私たちの責務と思っています。

JIPAの知財シンポジウムその1

月曜日, 2月 4th, 2013

先週の金曜日(2月1日)に日本知的財産協会(JIPA)の知財シンポジウムが国際会議場でありました。

JIPAは主に大企業の知財部が加入している団体で、日経連の知財版です。

さすがにお金があるようで、第1部のタイ、インドネシア、シンガポールの特許庁長官が出席したパネルディスカッションは同時通訳付きでした。

私は英語力を鍛えるために(?)イヤフォンを英語チャンネルに設定して聞きました。

何故英語チャンネルがあるかというと、会場の出席者には外国人も一定の割合で混じっており、インドネシアの長官は英語ではなくインドネシア語ですし、モデレーターやJIPAのパネラーは日本語なので、彼らが発言する時は英語の同時通訳が流れるようになっているのです。

同時通訳の英語は発音がきれいで、もともと日本人なので聞きやすいです。

シンガポールの長官の英語も、流石に英語が公用語だけあって聞きやすいです。

イヤフォンは片耳に付けているだけなので、付けていない側の耳には発言者の日本語が聞こえてきます。

聞くまいと思っても、日本語はすらすらと耳に入ってきてしまうんですねー。

そこへいくと、英語は集中して聞いていないと、すぐ解らなくなります。

いやー、母語というのはおそろしいですね。

聞くまいと思っても聞こえてきて内容が解ってしまうんですから。

早く英語もこの段階にならないですかねー。

なんて言っているうちに、紙面が尽きました。

この続きは次回です。