所長ブログ「ケンさんが往く」

2024.01.21

日本の特許庁は優秀です

通常の我々弁理士の相手は特許庁です。

特許庁は通産省の外局で、特許庁の職員や審査官は、国家公務員つまり役人ですね。

 

昔の(私が弁理士になって直接特許庁へ電話を掛けるようになった25年前)審査官は「お役人」だったですね。審査での拒絶理由通知は短く、意味が良く分からないのがあるとき等は電話をかけて確認するのですが、お役人目線で、つっけんどんな対応が多かったです。

 

一方で、短い拒絶理由通知でしたが、的を射たものも多かった感じで、よく読んでみると「現状の特許請求の範囲の記載ではナー」と納得することが多かったような気もします。そもそも、あまり審査官へ電話することはなかったですね。その前にこちらで良く考えてみる、という感じで。電話代が高かったのかなー。

 

翻って最近の審査官は極めてフレンドリーな対応をしてくれます。公益を代表し発明を審査する立場なので拒絶理由は通知するが、その通知は懇切丁寧で長いです(不必要に長いと感じることもあるくらい)。電話応対も概して気軽にしてくれます。それなりの努力をして生まれた発明なので、全くダメなもの以外は、特許請求の範囲の記載を含めて相談に乗ってくれます。

 

欧米、中国、韓国等に比べて審査も早いし、技術内容の把握にも優れています(私は特許を主に扱っているので)。技術内容が解りすぎて(?)この明細書の表現で良く特許にしたなー、というのもたまにはありますが。

 

特許庁の事務方も優秀ですね。今まで、形式違反の補正命令を何回か貰ったことがありますが、良く調べてみるとその通りで、というのが多かったです。

 

一昔前に、どこかの学者が、特許庁の審査能力や技術理解力に疑義を呈したことがありましたが、学者が考えているような先端技術は理解できる人がそもそも極めて少なく(なので学者たり得る)、その審査能力を特許庁に期待するのは無理があります。そのために当事者同士での解決を図る無効審判があるのですから。

 

まあ、拒絶理由通知の基礎となる引用文献の調査能力で、外国文献に関するものが欧米に比べて少し弱いかな、とは思いますが、総じて、我が国特許庁は世界で最も優秀だと私は思っています(ゴマすりではありませんよ(笑))。