所長ブログ「ケンさんが往く」

2024.07.07

特許出願前の調査

ある発明が特許される要件として新規性・進歩性があります。

 

新規性の要件は従来技術と同じものは特許されない、進歩性は従来技術から容易に考えられるものは特許されない、とするものです。

 

まあ当然納得できる要件ですね。

ただ実際問題としてはその判断は難しい。

 

特に進歩性の「容易に考えられる」というのはクセモノで、主観的な要件なので、将来的にどのように判断されるのか予想は難しいです。

なので、進歩性には少々疑問があっても出願することをお薦めします。

 

では新規性はどうか。

これは同一か否かなので、進歩性よりは判断が容易のような感じがしますが、これとても発明に近い従来技術をどうやって探し出すかという問題があります。

 

従来技術は一般的には従来の出願公報を検索することになりますが、何十万件とある出願公報の中から発明に近い公報のみを抽出するのはそれなりの検索テクニックが必要です。

 

そこで、私はある有料(1万円/月くらい)データベースを使用しています。

これには概念検索というのがあり、発明の内容を簡単な文章で入力すると、AIテクニックを使用して100件程度の出願公報に絞ってくれます。

私はその100件から発明の名称等を頼りに数十件程度にさらに絞り、絞った数十件の要約リスト(発明の簡単な説明と出願図面)を出して、発明に近い出願公報を最終的にピックアップします。

 

発明と同一と思われる出願公報が見つからない場合は出願を薦めます。

発明と同一と思われる出願公報が見つかった場合には、出願しても権利取得は難しいと伝えます。

 

調査費用は特に頂きません。

出願する場合には出願費用内で賄います。

出願しない場合には調査費用だけ請求するのもなんか気が引けるので特に請求しません。

 

ではなぜ出願前調査をするのか、というと、発明と同じ出願公報が見つかっていては、出願書類(明細書)を書くモチベーションが上がらないからです。

 

ということで出願前調査を行って、最近も提案された数件の発明の出願を見送る判断をしました。

だから儲からないのかなー(笑)。