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所長ブログ「ケンさんが往く」
2024.12.13
映画は昔は白黒でした。昭和30年代の我々の小学校時代以前は。
小学校の低学年の時に近くの公園などに来る巡回映画は、チャンバラ映画が多くてこれは白黒でした。フィルムが古いのでよく切れて途中で突然映像が途切れ、電気がついて、復旧まで暫く休憩なんてことが良くありました。
我が家では小学校4年の時にテレビを買いました。テレビの普及に伴って巡回映画も無くなったと思われますが、テレビはもちろん白黒でした。
小学校高学年の時に近所のお兄ちゃんに連れられて名古屋駅前の封切館で「海と老人」(ヘミングウェイ原作)を見た時(字幕を読み切らないうちに画面が変わってしまうので大変でした)はカラーだったので、アメリカ映画はその当時には既にカラーだったようです。
考えてみれば日本との戦争中に作られたアメリカ映画「風と共に去りぬ」はカラーだったので(実際に見たのは中学生の時だったような)当然ですね。
黒沢明の「天国と地獄」は昭和38年作で白黒です。黒澤は白黒を好んだという話もありますが、日本では昭和30年代の前半くらいまでは映画は白黒だったのでしょう。
その白黒映画ですが、最近Netflix からPrimeVideoに乗り換えました。理由は、後者の方が古い映画の名作が多いので。ただ、多くの映画がレンタルの都度400円かかるので、勢い無料の映画を選んで見ることになり、そこで、昭和15年製作の「風の又三郎」(宮沢賢治原作)と昭和24年製作の「青い山脈」(石坂洋次郎原作)を見ました。これが白黒映画でした。
そこで感じたのは、黒澤が白黒を好んだ(確か)という理由です。色が付いていると、どこか上っ面のチャラチャラしたものになりがちで、深い思想性が出ない。そして何か嘘っぽい。
私の好きな映画の一つで、黒澤の「生きる」という映画は白黒ですが、その精神性は白黒でなくては出ないのではないかと思います。これは、カラーのイギリス映画で近年リメイクされたようです。見たことはありませんが、カラーではいかがなものかと思われます。
ということで、白黒映画というジャンルは、必ずしも過去の遺物ではないのではないか、と思うのです。