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所長ブログ「ケンさんが往く」
2025.07.22
日本の特許法の第1条には「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」とあります。
つまり、特許法が権利者に強力な独占権を与える由縁は、発明を保護しもって産業の発達に寄与する、そして最終的には公共の福祉・世界の幸福に資する、ということであるようです。
これは、発明者がそのまま権利者になる場合には、発明者が発明をするにあたっての試作や出願等に要した各種費用を回収しつつ事業化の動機付けを与え、それが産業の発達を促すということで、すんなり腑に落ちます。
ところが発明者がそのまま権利者になることは今では皆無と言って良いくらい少ないでしょう。現代では発明者の殆どは企業の従業員で、特許を受ける権利は発明者から会社へ譲渡され、最終的な権利者は会社になるからです。
会社は営利団体なので、発明にあたっての費用の回収にとどまらず、発明を利用した利潤の最大化を目指します。
特許の独占権を儲けの道具として振りかざす、嘗ての米国のサブマリン特許とか、特許された治療薬を不当に高額で販売して南北対立を招くとか、発明の保護が上述した本来の目的を失う事態が往々にして見られます。
特許権という独占権の行使を、その本来の目的である公共の福祉に沿ったものにするためには、行政的な規制が必要なのかもしれません。