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所長ブログ「ケンさんが往く」
2025.10.19
最近の弁理士会会誌「パテント」に「特許実務で一番大切なこと」と題する記事がありました。
弁理士としてもちろん関心のあるテーマなので早速どんなことが書いてあるか読みました。
結論は、発明の把握と把握した発明の明確な説明、が大事というものでした。
まあ当然といえば当然の結論ですが、これがまた言うほど簡単ではないです。
発明の把握といっても、いかにも内容が難しい発明はその理解に時間を要するし、一見簡単に見える発明でも、発明の本質を抽出するのは案外難しいのです。
最終的に特許にするには従来技術を超えていなければならず、従来技術との比較で本質の抽出(どこが真に発明に値するか)は変動します。
加えて、抽出される発明は具体的製品を抽象化したものになるので、これを分かりやすく表現するには、日本語力が必要です。
抽象的なものを抽象的に表現するのは案外容易なのに、具体的なものを説明するのは案外難しい。
抽出された発明は抽象的になるとはいうものの、発明である以上構成(機械関係だと構造)は明確でなければならず、特に機械関係の発明は表現が難しいのです。
日本語表現はどうすれば磨けるでしょうか。
それは特許の明細書以外の、新聞や小説の文章を読むことだと自分は考えます。
新聞記事は誰が読んでも誤解がないように、句読点や語順などが考えられています。
記者の書いた原稿がデスクによって真っ赤に修正されるような場面が昔はドラマで良くありました。
朝日新聞の記者であった本田勝一に、日本語の表現法のテクニックを書いた本(題名は忘れた)がありますが、これを読んだときに、正確に意を伝える日本語作文はなかなか難しいものであることを痛感しました。
発明の本質の抽出とその正確な表現、特許実務は長い経験と切磋琢磨を要するものであるようです。