所長ブログ「ケンさんが往く」

2025.07.27

NHKのドラマ「べらぼう」

NHK 日曜の大河ドラマといえば、当初は歴史上の偉人をほぼ教科書のイメージの通りに取り上げることが多かったと思う(始まったのは私が高校時代なので60年くらい前か)。

 

途中「二つの祖国」とか「オリンピック噺」のような毛色の違ったものが挟まれることはあったが、おおむね戦国の武将や幕末の偉人の話が多く、ほぼお約束のような筋立てで、見る人はと言えばほぼ50歳以上のお年寄り(我々の若いころは50歳以上はお年寄りの部類であった)という感じであった。

 

それが昨年の紫式部を主人公にした「光る君へ」や、蔦屋重三郎を主人公にした今年の「べらぼう」へと続くように、下級貴族の才媛や、江戸のエンタメ本屋の話になっている。

 

十分な予算に裏付けられた重厚な画面や綿密な考証はそのままに、特に今年の「べらぼう」は吉原を中心とした江戸町人文化の、反権力を内含する爛熟ぶりが丁寧に描かれて面白い。

 

明治の西洋文化の導入に伴って、古臭いものとして公の場からは排除されてしまった江戸文化。しかしそれは我々庶民の間には結構脈々と受け継がれてきていたのではなかったか。そして戦時には江戸文化の完全な抹殺がなされた。

 

と考えると、戦のなかった江戸の「べらぼう」文化を守り育てることが、これからの日本の平和を守ることになるのかも。